ハロウィン

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「先生さようなら♪」 「はい皆さんさようなら。 魔女にはくれぐれも気を付けるんだよ」 「成る程、あのショタ達はよくここに来てる子供だったんだな」 俺達は偉藤さんからお菓子を受け取り、喜んで帰って行く児童達を見送る。 偉藤尊。 十八年前、妻と子供を魔女達に惨殺され 絶望に叩き落とされた彼は自警団を発足。 彼を慕う学生時代の仲間と地域住民達から広がり、 現在は地域に根差した協力な魔導師事務所に成長。 有志により強力な魔導師が入れ替わりで常駐している為魔女も迂闊に攻めてはこれない。 また看板の物々しい印象とは裏腹に子供110番の家を兼ねているので、小学生も気軽に立ち寄れる。 特に不在がちな父子家庭の親御さんに喜ばれている。 「いつもありがとうねぇ」 偉藤さんは穏やかに礼を言う。 「いえいえ、僕らみたいな不幸な家庭を生まない為ですよ。 それに子供は好きですから♪」 茉穂はウインクして唇に人差し指を当てて偉藤さんに返事を返す。 それって“秘密ですよ♪”のジェスチャーの筈なのだが 何を秘密にして欲しいのかイマイチ謎だった。 「あぁ…尊いねぇ」 偉藤代表は短くそう呟くと ハンカチを目頭に当てた。 果たして一体何がそんなに泣くほど尊いのか 俺には謎であったのだが。
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