PRESENT

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 お天気のいい春の初めの昼下がり。たくさんの人が行きかう大通りに面したコーヒーショップ。  まだ冬の寒さを残す少し冷たい風が、太陽で照らされてぬるくなった空気をさっと洗い流してくれるような心地いい天気。  このそよ風の抜けるテラス席で、桜井恭司は大学時代の友人とコーヒーを飲んでいた。  話はほんの少し前にさかのぼる。  書類を関係省庁に出しに行った帰り、コーヒーでも飲もうと立ち寄ったところだった。 「桜井、久しぶりだなぁ」  声を掛けられて振り向けば、そこに立っていたのは、桜井の数少ない大学時代の友人。流れでこのままコーヒーブレイクとなった。  互いにスーツを着て、社会人となっての再会だ。なにやら懐かしさと一緒に、少し気恥ずかしさみたいなものもある。 「でさあ、桜井。聞いてくれよ」  彼――楠田哲志(くすださとし)は椅子に座るなり、桜井に大学時代の学友の近況を話し始めた。  普通の新入社員は、入社したら全体教育みたいなものを受けてから、それぞれ配置されるという。希望通りの配置が通ったり、またその逆もしかり。     
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