PRESENT

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「実家だから親父の仕事をガキの頃から見てたけど、売るだけじゃなくて修理とか調整なんかもしなくちゃならない。メンテナンスには職人技が要求される。一人ひとりのかけ心地やフィット感を追及すると、マニュアル通りのメンテナンスではなかなか満足してもらえない」  俺はまだまだ未熟者だよ、と楠田は肩を竦める。  学生時代から楠田は器用な男だった。とりわけ細かな修理や補修がうまく、桜井も何度か眼鏡を調整してもらったことがある。  それでも昔からの常連は、楠田の腕を未だに信用していないようで、眼鏡のメンテナンスに引退した父親を指名することもあるのだという。 「くやしいんだけど、仕方ないよな。親父と同じレベルでは、俺は認められない。がむしゃらに頑張って技術を磨くしかない」 「大変ですね」 「そういえばおまえもメガネっ子だよな」 「ええ。昔からそんなに視力はよくないんです。さらに最近は激務続きで肩や首まで痛くなって……」  言いながら肩に手をやる。  ここ最近はPCの前で書類を作る仕事が多かったから、首も肩もガチガチだ。重く強張って凝りに凝りまくっているおかげで、首の可動域も狭くなっているし、何より頭が痛い。  ポケットに頭痛薬を常備しているが、その箱のサイズがだんだん大きくなってきている。40錠など買ってもすぐに飲んでしまうので、最近はまとめて数箱買うことにしているが、だんだんそれも手間に感じている。     
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