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「よし、これで終わり。どうだ、少しは楽になったか?」
「ええ。さっきと全然違います。あなたは眼鏡屋さんなのに、マッサージもお得意なんですね?」
桜井は座ったまま頭を下げながら、数回肩を回す。施術の効果は絶大で、今は両肩がとても軽い。動かすたびに感じていた筋肉の奥が痛むような感覚がないし、可動域が広くなったのを感じる。
「頭の重さもなくなったみたいです。これならまたもうひとがんばりできそうだ。本当にありがとう」
「大したことじゃねえよ。だが眼鏡屋として言わせてもらえば、眼鏡を新調する前に、目の疲れを取ることを意識した方がいいかもな。なんでもいい、自分がリラックスできる方法で目を休ませてやるんだ。ホットタオルを当てるのもいいと思う。それだけで目がぼやけたりするのが劇的に改善されることもあるから」
「へえ……」
今まで目がぼんやりしたり、物が二重に見えたりするのは、眼鏡の度が合わなくなったせいだと思っていた。
だが楠田にマッサージしてもらってから、頭も軽くなった気さえするのだから、案外目を酷使しすぎているという彼の指摘は間違っていないのだろう。
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