0人が本棚に入れています
本棚に追加
年上の先輩に恋しました。
1つ年上の先輩は優しくてかっこよくて少し抜けているところもあるけど、そこがまた萌える。
先輩と出会ったのは、入学式の時。
桜の花びらがはらはらと落ちていき、校内の地面に数えきれないくらいの量があった。
ぼんやりと歩いていた時、足元に違和感があった。下を見ると、タオルを踏んでいた。
タオルから足を引いて、しゃがんでそれを手に取る。そして、パンパンとタオルを叩いた。
「これ、どうしよう? 踏んでしまったから洗うべきかな?」
そんなことを思いながら、立ち上がりタオルを見つめ続ける。
多分、周りの人たちは私を避けて歩いたり、通り道で立ち往生していて邪魔だと思ったりしていたのだろう。
自分でもそろそろ歩くことを再開しないと駄目だと思った。そのため迷い迷った末、洗ってから返そうと決意する。
しかし、私のすぐ近く、頭上から声が落ちてきた。
「それ、どうしたの?」
私はその声がする方へ勢いよく顔を向けた。私は目を見開いていたと思う。
「あっ! ごめんね、驚かせてさ。 それ、俺のだから、ジッと見つめててどうしたのかなって。でも、探してたものを君が見つけてくれて良かった!!」
嬉々として語る目の前の男。眉を下げて謝ったかと思うと、キョトンと不思議そうな表情をする。また、探し物が見つかった嬉しさで笑顔になっている彼。
表情の変化が激しいと感じた。喜怒哀楽が顔にでるタイプ。
「このタオル、落ちていたんです。それに気づかずに踏んでしまって……。洗って返します」
私は、そのことに戸惑いながらも自分の思っていることを伝えた。
「えっ!? それで、そのタオル見てたの? 別に気にしなくていいのに、拾ってくれてありがとう! 」
キラキラと輝いてみえる笑顔は、とても眩しかった。彼は、きっと周りを元気付けることができる人。人のことを思える優しい人だと思った。
「でも、落としたのは俺自身の責任のせいだし、気にすることないよ」
すんなりと私自身に入ってくる言葉。今度は諭されてしまった。確かに、落とした人も悪いけれど、気づかずに踏んでしまった私も悪いのだ。だから、このまま目の前にいる人にタオルを渡すのは、嫌だと思った。
「これ、今日絶対使いますか?」
「うん?」
私の質問に対して首を傾げた彼。
最初のコメントを投稿しよう!