高校生。

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~・~・~・~ 終礼を終え、煩わしい拘束から解放された生徒たちの声は明るく、軽やかだった。 その賑やかな声を九条(くじょう)は静かな職員室の自席で仕事をしつつ、聞く気はなく聞いていた。 「九条(くじょう)先生? どうかなさいましたか? 随分と難しいお顔をされていますが・・・」 そう唐突に声を掛けられた九条(くじょう)は『え?』と声を漏らし、忙しなく動かしていた手を止め、そう声を掛けてきた教頭の米倉(よねくら)へと目を向けた。 米倉(よねくら)九条(くじょう)と視線が合わさるとプクリと膨らんだ頬の肉を僅かに動かして笑い、もう一度、九条(くじょう)に『どうかなさいましたか?』と先ほどと同じ言葉を投げ掛けると空いていた早川(はやかわ)の席にどかりと落ち着いた。 大柄な米倉(よねくら)に座られた早川(はやかわ)の椅子はギギギッ・・・と苦しそうな悲鳴を上げたが米倉(よねくら)の身体をなんとか支えていた。
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