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「おはようございます! 九条先生! いやぁ~・・・今日もイケメンですね!」
人も疎らな早朝の職員室の席に着くなり、そう隣の席から声を掛けられた九条 翔はイケメンと言われたその顔に嫌そうな表情をこれでもかと滲ませた。
「・・・おはようございます。早川先生。今日も朝から無駄に賑やかですね」
そんなわかりやすい嫌味を九条から浴びせられてもニコリと笑んで『はい! 元気です!』と小学生の健康観察を思わせる返事を返したのは英語教員の早川 一志だった。
早川のその返答はいつになく不機嫌な様子の九条を煽っていたのだがそんなことなど早川はお構いなしに話を続けた。
「今日は入学式ですねー! 初々しい新一年生! 早くお目に掛かりたいなー! 九条先生もそうでしょ? 早く新一年生を見たくてウズウズしてるんじゃないですかぁ~?」
早川のその語尾をいちいち強めて上げて伸ばすクセのある話し方はいつも九条を苛立たせ、不快にさせる。
もちろん早川はそんなことなど知りもしないのだが・・・。
「・・・興味ないですね。ガキになんか・・・」
隣の席でニコニコしている早川に九条はそう言葉を突き返し、口元に冷笑を滲ませた。
そんな九条に早川は『えぇ~!?』と耳障りな声を発し、わざとらしいリアクションを見せて『九条先生は若いコ、好きじゃないんですかぁー!?』などと少々誤解を招くような言葉を口にし、一人で騒いでいた。
それを九条は『興味ないですね』の一言で片付けるとうるさい早川を完全にシャットアウトしていた。
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