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(柴犬みたいなヤツだな・・・。それも子犬の・・・)
新一年生のその男子生徒は九条にそんなイメージを与え、そんなイメージを与えられた九条は知らずのうちに薄く笑んでいた。
そうこうしていると無駄に長く、要領の得ない校長の挨拶は終わり、司会進行の口からは新入生代表、挨拶の号令が掛かった。
新入生代表の挨拶者は入試の際のテストの成績で決まるため、挨拶者に選ばれた者は自然と注目の的となる。
そして、今年の注目の的となる新入生代表の名前が呼ばれた。
『出会 飛鳥くん』・・・と・・・。
司会進行にそう名前を呼ばれ、返事を返した『出会 飛鳥くん』のその声は静かな体育館によく響いた。
(出会 飛鳥・・・)
九条はその名前を声なく反芻し、パイプ椅子からスクリと立ち上がった柴犬の子犬のようなその男子生徒を凝視していた。
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