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部屋に帰ってから出会は盛ったかのように俺に迫ってきて迫られる俺はそれを軽くあしらっていた。
そのあしらいに出会は膨れっ面になり『なんでですか?』を連発したがそれも俺はあしらった。
そんなとき、ふと出会のぶつぶつが止まり俺は読んでいた新聞から視線を上げた。
出会は海の見える窓の前に立っていた。
出会のその背中は寂しそうではなかったが夕日のせいで消え入りそうに見えた。
俺は読み掛けの新聞を雑に折り畳み、テーブルの上に置いて出会の元へと向かった。
「いきなり黙ったな? どうした?」
俺は出会のすぐ後ろに立って訊ねた。
「夕日が綺麗です。とっても・・・」
出会のその答えに俺もその夕日へと視線を向けた。
出会が見ていたのは空を焼き、海も焼いている真夏の夕日だった。
逢魔時だ・・・。
俺は出会を後ろからそっと抱き締めて1年と少し前のことを・・・あの日の逢魔時のことを思い出していた。
あの日の逢魔時の放課後・・・俺は多目的教室に一人居た出会に出会った。
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