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「ファンって何? 俺のファンになってくれるような子なんて居ないよ」
そう言った静かなのによく響くその声は他の騒がしい声を抑え、俺の耳に届いた。
それが酷く耳障りだった・・・。
「え~? ファンクラブあったじゃーん! バレンタインとか段ボールいっぱいに手作りチョコ貰ってたじゃーん! それも何箱もさ~!」
そう騒ぐその妙に高く、間の抜けた騒がしい声の方が先の静かな声の何倍も聞き心地がよかった。
普段ならそんなこと、決して思わないのに・・・だ。
「あれは・・・たまたまだよ」
そう言って謙遜する口調にも声音にも一切の傲りはなく、微塵の戸惑いさえもなかった。
なのに俺はそれに嫌気が差した・・・。
いや、だからこそ嫌気が差した・・・。
俺は主にその2つの若い声が聞こえて来ている1年2組の教室を通り過ぎ様に見て、探すつもりはないのに探していたそいつを見つけ、睨むつもりはないのに睨み付け見ていた・・・。
そいつ・・・出会 飛鳥を・・・。
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