第五章:隠された真実~まさかのMRI検査~

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「これ!?」 思わず声に出していた。横幅の3分の1以上を占めている。こんなもんが私の中に存在しているだと……!? 驚きであった。 皮様嚢腫とはどんな病気かというと、簡単に言えば、卵子の突然変異である。 卵子が勝手に人体の一部を作ってしまう病気で、ゴムまりのような袋の中に脂、軟骨、毛髪などを入れた腫瘍を作るのである。 女性に割と見かける病名らしく、これの究極形態が、かの有名なブラックジャックの「ピノコ」なのだそう。つまり別名、「奇形嚢腫」。 軟骨や髪などごく一部とはいえ、単独で人間の体を作ってしまう卵子。女性の神秘に、ただただ驚かされるばかりである。 存在するだけで何の害も加えない良性とはいえ、腫瘍は腫瘍。本来体内にいるべきではないもので、卵巣の近くにあるぶん、捻転を起こす可能性もあるらしい。 翌年、私はめでたく、取り除く手術に踏み切ったのであった。
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