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一週間の入院となり、「腹腔鏡手術」という医療の進歩をもって、私は無事、腫瘍を取り除く事が出来た。お腹にもほとんど傷痕はなく、手術成功である。
この時の私の記憶はあまりなく、というか、術後の熱と気分の悪さにげーげー吐いていた記憶が大部分を占めている。
しんどかった。ひたっすら、しんどかった! ほんで……うーん、やっぱりよく覚えていない!
退院するまでは特にこれといった異常もなく、ベッドに寝るか、病院をうろつき回るか、屋上へ行って外の空気を吸うか。いずれかであった。
食事も普通で、早く退院したいなーと思っていた事だけは、今でもよく覚えている。
後日、先生からお話を聞いて、取り出した腫瘍の写真を見せてもらった。
なるほど立派なゴムまりで、油まみれの髪の毛が数本あるぐらいだった。
改めてこんな物が体内に鎮座し、私を女王にしたのか貴っ様ァ……! と、思わず悪態の一つでもつきたくなったが、そうは言っても長年の付き合い。悪友を見るように私が思い出に浸っていると、先生はこんな事実を私に告げた。
「もう一つあったよ」
はい?
「うん、手術の時にね、本体の後ろにもう一個あったんですよ。びっくりしたよねー。あ、でも1センチくらいで小っちゃかったし、それも取ったから安心してねー」
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