1.二度夢の午後

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1.二度夢の午後

 ぱち、そんな音がするほど、目覚めだけは鮮やかだった。 意識が少しずつでも戻ってくると、体はまだ動いてないっていうのに、もう既に完全に起動したところなんだー、と思い込んでしまったらしい。 起きて歩こうとして、うまくいかず、寝ていたソファーから盛大に転げ落ちた。ついでに、かけてあった布団も落ちてきた。 うげっ。腹を打ちながら倒れて、布団からなんとか這い出て、ため息をつく。……最近、疲れているんだろうか。 例えようの無い不安が襲ってきて、静寂が、気味悪く感じて、なんでもいいから喋ってみることにした。 「頭が、いたい。起きてすぐに、二度寝というか、居眠りは、あまりよろしくないよなあ……」  まったく、おかげで今朝は嫌な夢を見てしまった。きっとよく眠れていなかったのだ。起きてみると、内容もあまり思い出せないけれど。 「ん? ソファーから落ちた?」 辺りを見ると、フローリング。淡いオレンジの壁。そしてオレンジのソファー。壁には謎の小さな絵画。 ──一瞬、ここはどこなんだ? と焦りかけてから、ここが、ぼくの自宅の、しかもリビングだった、と思い出した。引っ越して何日も経ったのに、どうも慣れない。 そういえば、昨日は夜更かしして、寝室に戻らなかったのだ。せめてこれからは夜更かしに気を付けようと自分に誓っておく。
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