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──ぼくは、フック状のもの、それから、輪ゴムや球体なんかは、今になっても、どうも苦手だ。
昔よりはマシだが、弾力があったり柔らかいものは今でも好きじゃない。
ぱっと見、凶器になりにくそうな、優しい肌触りのものだって、だからこそ、ちょっと恐ろしいと思う。
凶器でさえなかったら人は何の抵抗も無くそれを使い、何の罪悪感も抱かない。
力一杯、誰かに向けても、平気な気がしてしまうのかもしれないから。これなら死にはしないだろうと、警戒を緩めてしまうこともあるから。
この前、近くに居た高校生からコンクリートの上から輪ゴムをばら撒かれた事があるときにも、彼らに『悪意』はなく、人を殺そうとすら考えていないのだと、それが一番恐ろしかった。
生粋の殺人犯に、悪意など無いように。
ただ救おうと、善意を向けて来る彼らのように。
寝起きに、輪ゴムなどを使うのには、どうも抵抗があり、結構感謝したいところだったが、まつりはそれを察知していたのかもしてない。
なかなか鋭い奴である。
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