捨てた少女《しょうねん》

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 この世の中は、性別でなんでも区別されている。 まぁ、いろいろ事件やら問題やらが起こりまくる世の中だからしょうがねぇーけど。  ただ、オレみたいな人間はこういう時が一番めんどくさい。 いちいち、突っかかってくる奴がいるんだ。  目の前には、性別で区別された施設。オレはいつものように青色のマークがついた方に 入った。  入った瞬間に軽く目があっただけのヤツが、やたらとこっちを見てくる。疑念の目で。 (またかよ...フード深めに被って、あんま顔見えないようにしてんだけどな...)  オレは慣れてしまった目を無視し、その目がいつものように首をかしげながら出口へ 出て行くのを待った。 ........けど、今回は違った。  そいつは出口じゃなく、オレの方に向かってきたんだ。 そして突然、オレの腕を掴んだ。  そいつの行動の意味が分からず、掴んできたヤツを睨み返そうとした瞬間、 そいつが周りにも聞かせるようなデカい声で、オレに言い放った。 [お前、<女>だろ!!!] は? こいつは何を言ってんだ?オレは何も間違ったことをしていない。 なのになんでだ?なんでオレは怒鳴られてんだ?  あまりの出来事に、いつも以上に大きな怒りが生まれる。 オレは掴まれた腕を思いっきり振りほどき、ヤツを睨みながら、 「オレは<男>だ!!お前は目が悪すぎなんだよボケ!!!」 と言い放ってやった。  そしたら、ヤツは今度はオレの胸ぐらを掴み、顔の目の前で怒鳴り始めた。 [こんな低い身長で肩幅も狭い、おまけに喉仏も出てなけりゃ手も丸っこい。誰がどう 見たって<女>だろ!!<女>のくせに男に突っかかってくるな!!]  どこまで見てんだよ、つか女の身体知りすぎ  逆に引くわ  無駄に細かいところを指摘してきやがる目の前のヤツに、どんどん怒りが大きくなる。 「こんな見た目の男なんて、そこら辺探したらいくらでもいるわ!  お前だけの基準で、勝手に人を判断すんじゃねぇ!!!」  そう論破すると、そいつは突然オレの胸ぐらから手を離し、顔をニヤつかせた。 そのひん曲がった口から発せられた言葉が、オレの怒りを爆発させた。
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