捨てられない少年《しょうじょ》

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 ちょっと前までは、僕も周りの男の子と同じだった。 普通に女の子に恋をして、普通に男としてカッコイイって言われたいって思ってた。  普通に、<男>として日々を過ごしてたんだ。  でもある日から、女の子が着ている服やアクセサリーばかりに目線がいくように なった。  それくらいなら、まぁ普通かな?って思ってたけど、目線がいった物を「自分も 身につけたい、可愛いって言われてみたい」って思い始めた。    そうなった自分に、最初は嫌悪感を抱いていた。  「こんな男、気持ち悪いに決まってる...」  そう言い続け、なかなか自分を受け入れられなかった。  そんな言葉とはうらはらに、僕の心はどんどん女々しくなっていった。 ついには、男の子に恋をし、その男の子に「女の子として可愛いって言われたい」と 思い始めた。   もう、ここまでくれば認めざるを得なかった。 ーーー僕は...『女の子』になりたいんだ...ーーー  そう思いだしてからは、人との接触に細心の注意を払うようになった。 女の子っぽい仕草をしないように。好きな男の子に変な視線を送らないように。  『本当の自分は、女の子なんだ』ということを、周りにバレないように。  だって、こんな事がバレたら...きっと軽蔑される...  必死で作った友達も、みんな離れていって、僕は独りになる...  昔のトラウマのせいで独りが耐えられない僕には、『本当の自分』をさらけ出すなんて 出来なかった。  だから必死に、<男の子>を演じ続けた。  でも、いくら<男の子>を演じ続けても、心は女の子の気持ちが増すばかりだった。 可愛い服を見るたび、可愛いアクセサリーを見るたび、身につけたくてしょうがなく なる。  でも...そんなことしたら... 恐怖と欲望がずっと喧嘩している。  あぁ...なんで... 「こんなにも苦しいの...」
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