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秋桜の章‐はじまり‐
チク・タク・チク・タク、時計の進む音がする。
もし、この時計の針を巻き戻すことが出来るなら私は、わたしは──!
ピピピピピピピッ
アラームの鳴る音に目が覚める。
「あれ…私何の夢見ていたんだっけ?」
眠気眼をこすりながらぼんやりと思う。
最近夢を見ることが増えた気がする。大抵どんな夢かは覚えていない。モヤモヤとしながらベッドから降りる。そんな朝が続いていた。
うーんとそれっぽく唸ってみても思い出せる気配がない。いつまでもぼんやりしていられない。学校に遅れてしまう。頭を切り替えるように、勢いよくパジャマを脱ぎ、制服のワイシャツに腕を通す。
「今日は志乃ちゃんが朝ごはん当番か」
ホッと胸を撫で下ろす。
「まあ、私も料理のことは人の事言えないけどね。今度志乃ちゃんに教えてもらおうかな。もちろん鳴子と一緒に」
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