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1話 夏祭りの誘い
「今日、夏祭りがあるみたいだな。朱里、一緒に行かないか?」
近所に設置してある掲示板を見て、黒炎君が呟いた
その目は、何故かキラキラと輝いている
「え? 夏祭り?」
私を誘うってことは、もしかしなくてもデートのお誘いだよね?
って、なに浮かれてニヤついてんの、私
黒炎君は普通の男の子と少しだけ違うところがある
だから、これにも何か裏があるはず
「やっぱりギャルゲーのイベントと言ったら夏祭りだよな!
一度リアルで行ってみたかったんだよなー。
小学生の頃に行ったことあったけど、あの時はまだガキでお金のことばかり気にして、十分に楽しめなかったし。でも、今は俺たち高校生だしな!」
「そ、そうだね・・・た、楽しみだなぁ~」
“やっぱりか”と心の中で小さな溜息をつく
そう、黒炎くんはゲームオタクなんです。しかも、好きなジャンルはギャルゲー
“~君のこと大好き!って簡単に言うと思った?”というタイトルのギャルゲーは1年経った今でも、黒炎君の中でかなりのお気に入りのゲーム
その中に登場するアカリちゃんが大好きらしい。因みに私と名前が同じ
あれから1年が経ったと思うと早いなー
「それで夏祭りと言ったら浴衣だよな! 朱里、お前着てくれるだろ?」
今の黒炎君、頭の中がギャルゲー・一色って感じがする。
「う、うん。じゃあ着ていこうかな」
なんか着ていかないと、黒炎君のテンションがダダ下がりしそうだし
って本人には言えないけど、そんな気がする
まぁ、私自身もせっかくならオシャレしたいし
「じゃあ、19時に会場に集合ってことでいいよな! またあとでな!」
「うん、またあとで」
黒炎君、始まる前から楽しそうだなぁ
今日は普段とは違う私を見せてやる! と、私も黒炎君とは別の意味で燃えていた
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