意地っぱりな薬指

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この男が私の彼氏、御手洗隆司。 住宅設備を取り扱う我が社の営業部で、 現在ナンバーワンの出世頭と言われている。 しかも、顔もスタイルも人並み以上と、 すべてにおいて出来がよろしいものだから、 女性社員からの注目度は高く、社内のどこに 行っても熱い視線を浴びている。 そんな男となんで付き合うことになったかと 言うと、特に珍しい話でもなく、たまたま 同じ仕事に関わったことがきっかけだ。 それまでは同期として、それなりに親しくは していたし、好意はあったけれど、あくまでも 友人としてのものだった。 だから彼から交際を申込まれた時は、すぐには 信じられなくて、本気なのかと何度も確認して しまったくらいだ。 その付き合いも、そろそろ二年になろうと している。 「この見積もりを頼みたいんだけど」 「今頃?何時だと思ってるの?」 「そんなことは承知だ。明日の十一時までに 仕上げて欲しい。午後の商談の前にチェック したいから。高橋さんなら出来るだろ?」 「十一時か。ちょっと厳しいけど……」 不可能ではないと思う。内容にもよるけれど。
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