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王の対面・前編(天霧北都視点)
本当に大丈夫だろうか、と不安になる。
『大丈夫だよ。ほとんどのことは私がやるし、君は見てるだけで良いからさ』
あの、ある意味衝撃的な出来事から数日後。
この世界の、原因となった神様をとりあえず一発殴ってきたらしい不知火さん――いや、真南はそう言った。
「本当に、魔王は来る気なんですかね? 敵陣に単身で乗り込むようなものですよ?」
仲間の魔導師ことアイリスが、不安そうに言う。
「別に良いじゃねぇか。どうせこっちで何が起きようと魔王の自業自得だし、もし、こっちでうっかり倒したところで、いくら魔族といえど、すぐにどうにか出来る訳がない」
ふん、と相変わらず魔王を退治する機会を狙い、諦めていないのか、ヴィドルは真南が城へ来たときが最高の好機だと思っているらしい。
「仮にも単身で神をぶん殴りに行った魔王を退治、ねぇ……」
旅の間もその傍観者っぷりを崩さなかったテオは、ヴィドルに現実を突きつける。
「それがどうした。好機は好機。今度こそ、魔王を倒す」
ヴィドルが、真南が話してくれたことを信じている様子はない。
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