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止めてください。何で今恥ずかしがってるんですか。
せめて、最後まで、きちんとやってくださいよ。
「は、ハルトさぁん……」
いつも、しっかりしているように見えていたからか、いきなり涙目で助けを求められても、どうすればいいのやら。
「何やってるんですか。いつも通り、しっかりしてくださいよ」
それでも、見捨てることは出来ないので、ハンカチを差し出す。
……あ、ヤバい。勇者たちの視線が痛い。
「……よ、ようこそ。我が城へ」
どうやら、マナ様が一番耐えられなかったらしい。
☆★☆
さて、仕切り直して。
「改めまして。ようこそ、天霧君。我が城へ」
いつも通りのマナ様である。
「ああ、うん。不知火さん。ところでさっきのは……」
「触れないで! お願いだから、触れないで! 一回やってみたかっただけなの! お願いだから、もうその話はしないで!」
「……ああ、うん」
マナ様の必死さに、勇者が戸惑いながらも頷く。
だから、止めたのに。まあ、隠れたくて仕方が無いはずなのに、椅子の後ろに隠れないだけでも偉いとは思うが。
「えっと、それで魔王は……」
「うん、私」
ついには、開き直ってしまった。
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