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「君が勇者召喚されたのと同時に、私は魔王召喚されました。それが、この世界の基本的な仕組みだね」
もう笑いながら話されているし。
「で、基本的に勇者と魔王って、夫婦や恋人同士、兄弟姉妹がなりやすいみたいなんだよね」
「あれ? でも、俺たちって、クラスメイト……」
「だと思ったでしょ? ここで、待ち合わせしていたあの日に繋がります」
マナ様の笑みが、口角だけを上げたまま消える。
そして、おそらく勇者だけが知らなかったであろう爆弾を、マナ様は落とされた。
「私たち、異母兄妹なんだよ。ちなみに、私の方が誕生日が後だから『妹』ね」
「……」
どうやら、勇者は声が出ないらしい。
「まずは、謝罪させて。うちの父親が迷惑掛けました」
「……ぁ」
「本来なら、君も不知火姓になるんだろうけど、いろいろと警戒したらしい父がそのままにしたみたいだね」
ようやく反応した勇者を余所に、マナ様は話していく。
「ちなみに、君のことは高校入学時から知ってました。まあ、その辺は、同じ高校なら良いなぁ程度だったんだけどね。私、これでも頑張ったよ? 情報収集に全力を注ぎました。その結果が、これです」
マナ様が悲しそうな顔をする。
「しかも、名前に『北』と『南』を入れている辺り、あと二人ぐらい居そうなんだよねぇ」
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