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これは駄目だ。
「マナ様」
公の場だけど、名前で呼ばせてもらう。
「……つまり、何もかも知っていたと?」
「『夫婦』『恋人』『兄弟姉妹』が勇者と魔王の召喚条件なら、私たちに関係してるのは、『兄弟姉妹』ぐらいしかないでしょ。異母兄妹とはいえ、『兄弟姉妹』なんだから」
つまり、マナ様にしてみれば、この召喚が決定打になってしまったことになる。
ああ、本当にこの世界は――
「酷いよね。愛し合ったりしている人たちを引き剥がすどころか、打ち明けようとした私たちすら引きずり込むんだもん。セット召喚も止めてもらいたいものだよ。向こうにある生徒会の仕事が滞るしさ」
そこで何故、こちらに困ったような笑みを向けるのだろうか。
「で、どうする? 勇者として、魔王である私を倒す?」
「そんなの……出来るわけないだろ」
「ホクト!?」
勇者の仲間が勇者をぎょっと見る。
「そうだね。そうしてくれると助かるよ。私もまだ死にたくはないし」
次に、マナ様は勇者の仲間に目を向ける。
「そちらでは、勇者と魔王に関しては、どんな風に伝えられてるのかな? こっちでは数代前の人が、一度そちらに伝えたらしいんだけど」
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