後編

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 これは駄目だ。 「マナ様」  公の場だけど、名前で呼ばせてもらう。 「……つまり、何もかも知っていたと?」 「『夫婦』『恋人』『兄弟姉妹』が勇者と魔王の召喚条件なら、私たちに関係してるのは、『兄弟姉妹』ぐらいしかないでしょ。異母兄妹とはいえ、『兄弟姉妹(きょうだい)』なんだから」  つまり、マナ様にしてみれば、この召喚が決定打になってしまったことになる。  ああ、本当にこの世界は―― 「酷いよね。愛し合ったりしている人たちを引き剥がすどころか、打ち明けようとした私たちすら引きずり込むんだもん。セット召喚も()めてもらいたいものだよ。向こうにある生徒会の仕事が滞るしさ」  そこで何故、こちらに困ったような笑みを向けるのだろうか。 「で、どうする? 勇者として、魔王である私を倒す?」 「そんなの……出来るわけないだろ」 「ホクト!?」  勇者の仲間が勇者をぎょっと見る。 「そうだね。そうしてくれると助かるよ。私もまだ死にたくはないし」  次に、マナ様は勇者の仲間に目を向ける。 「そちらでは、勇者と魔王に関しては、どんな風に伝えられてるのかな? こっちでは数代前の人が、一度そちらに伝えたらしいんだけど」     
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