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「……魔王は人類の敵だ。魔王を倒すために、勇者を召喚する」
「うわ、何というマッチポンプ」
「魔王様」
マナ様が口を挟むと進まなくなりそうだから、注意してみる。
「そもそも、お前の言うことには証拠が無いだろ」
「それは否定しないよ。けど、異母兄妹は事実で、こうして喚ばれていることが一種の証拠だし、歴代魔王の手記ならこの国にはあるけど、この国にしてみれば貴重な資料だから、燃やされたりされては困るからね。どうしても見たいというのなら見せても良いけど、見張りは付けさせてもらうよ」
……どうやら、いつものマナ様に戻られているらしい。
「不知火さん」
勇者が呼び掛ける。
「真南で良いよ。『妹』だって言ったし」
「いきなり、異母兄妹だの妹だの言われて、びっくりしたんだけど」
「うん」
「魔王が不知火さんだと知って、この事にもびっくりしたんだけど」
「うん」
勇者が一度深呼吸する。
「魔王がこの世界の人たちに、悪事を働いてるって聞いたけど、その真意を教えてもらえないかな?」
「いいよ」
この人はまた、あっさり引き受けちゃったよ。
「まずは前提として、魔王は魔族の王であり、この城はその拠点。それは覚えておいてね」
「分かった」
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