後編

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「……魔王は人類の敵だ。魔王を倒すために、勇者を召喚する」 「うわ、何というマッチポンプ」 「魔王様」  マナ様が口を挟むと進まなくなりそうだから、注意してみる。 「そもそも、お前の言うことには証拠が無いだろ」 「それは否定しないよ。けど、異母兄妹は事実で、こうして喚ばれていることが一種の証拠だし、歴代魔王の手記ならこの国にはあるけど、この国にしてみれば貴重な資料だから、燃やされたりされては困るからね。どうしても見たいというのなら見せても良いけど、見張りは付けさせてもらうよ」  ……どうやら、いつものマナ様に戻られているらしい。 「不知火さん」  勇者が呼び掛ける。 「真南(まな)で良いよ。『妹』だって言ったし」 「いきなり、異母兄妹だの妹だの言われて、びっくりしたんだけど」 「うん」 「魔王が不知火さんだと知って、この事にもびっくりしたんだけど」 「うん」  勇者が一度深呼吸する。 「魔王がこの世界の人たちに、悪事を働いてるって聞いたけど、その真意を教えてもらえないかな?」 「いいよ」  この人はまた、あっさり引き受けちゃったよ。 「まずは前提として、魔王は魔族の王であり、この城はその拠点。それは覚えておいてね」 「分かった」     
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