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「彼らは、悪く言えば知能が低く、単に本能に従っているだけだ。こちらが何て言おうと理解してもらえないんじゃ、手の打ちようがない。もし、彼ら以外の奴らを見たのだというのなら、それは好戦的な奴らだろうね。彼らには戦うなとは言ってないし」
相手の言い掛かりのようなものに、マナ様が冷静に返す。
「好戦的なタイプは、行動を封じれば封じるほど面倒で厄介だからね。クーデターなんか起こされた上に内戦なんてしたくないし、さっきも言ったけど、私は死にたくないし」
「だからって、放置するのもどうかと思います」
「放置はしてないし、対処はしてる。この国の内輪問題に、貴女たちに口出しされたくはない」
勇者一行の女魔導師が口を出すも、マナ様からすぐに反論される。
「さて、と」
マナ様が椅子から立ち上がる。
「ハルトさん」
「何でしょう?」
「この国のことを任せますね」
「はい?」
何を言っているんだろうか。
「ちょーっと、遠い所までお仕事に行ってきます」
「え?」
「逃げるつもりか! 魔王!!」
「逃げないよ」
冷静に、今まで見てきた彼女とは違う、彼女がそこに居た。
「ハルトさん。いつまで経っても戻ってこなかったら、私の机の一番上の引き出し、開けてみてくださいね」
「マナ様」
嫌な予感が、止まらない。
せっかく、この人なら大丈夫かと思っていたのに――
「不知火さん、何をするつもりですか?」
「何も? ただ、リア充嫌いの神様を片付けようかと」
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