後編

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 彼女は何を言ってるんでしょうか? 「それは、つまり――」 「終わらせてきます」 「マナさ……」  勇者の言葉全てを聞くこともなく、私の呼び掛けが追い付くこともなく、マナ様はその場から姿を消された。 「ホクト、早く追わないと」 「追うって、どこに?」 「そんなの、魔王の元に……」 「行けるなら、とっくに向かってる! 向かえないから、向かえるわけがないから、何にも出来ないんだよ!!」  勇者が叫ぶ。  きっと、この城に来て、一番の声なのだろう。 「おい、あんた」  勇者の目がこちらを向く。 「何でしょう?」 「不知火さん……真南が向かった場所に、何とかして向かえないのか。この世界の――神が住む場所に」 「ホクト!?」  喜びと驚きと戸惑いが、勇者一行に現れる。 「俺はまだ、ちゃんと返事をしていない。返事をする前に死なれても困るんだよ」  私だって、マナ様には、いろいろと言えていないことがある。  けれど―― 「私は何も知りませんよ。魔王様が神を倒そうとしていることも、今知ったばかりですし」  『魔王補佐官』なんて言っておきながら、彼女が何をしようとし、していたのかを知ったのが今だとは笑えてくる。     
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