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彼女は何を言ってるんでしょうか?
「それは、つまり――」
「終わらせてきます」
「マナさ……」
勇者の言葉全てを聞くこともなく、私の呼び掛けが追い付くこともなく、マナ様はその場から姿を消された。
「ホクト、早く追わないと」
「追うって、どこに?」
「そんなの、魔王の元に……」
「行けるなら、とっくに向かってる! 向かえないから、向かえるわけがないから、何にも出来ないんだよ!!」
勇者が叫ぶ。
きっと、この城に来て、一番の声なのだろう。
「おい、あんた」
勇者の目がこちらを向く。
「何でしょう?」
「不知火さん……真南が向かった場所に、何とかして向かえないのか。この世界の――神が住む場所に」
「ホクト!?」
喜びと驚きと戸惑いが、勇者一行に現れる。
「俺はまだ、ちゃんと返事をしていない。返事をする前に死なれても困るんだよ」
私だって、マナ様には、いろいろと言えていないことがある。
けれど――
「私は何も知りませんよ。魔王様が神を倒そうとしていることも、今知ったばかりですし」
『魔王補佐官』なんて言っておきながら、彼女が何をしようとし、していたのかを知ったのが今だとは笑えてくる。
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