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それを聞いたであろう彼女の返答は、といえば――
「うわー。来ちゃったよ、異世界転移。しかも、魔王サイドとか。え、私勇者に殺されて死ぬの? うーん……」
と、何とも言えない返事であり、ついにはそのまま考え込む。
「あ、あの……?」
「『魔王』って言うからには、やっぱり王様なんですよね?」
「ええ、一国の王です。魔族の、ですが」
そこからまた返事はなく、何かを考え込む。
「貴方は、どんな立ち位置の人?」
「一応、魔王様の補佐をやらせてもらっています」
「補佐、ね。それじゃ……っと、名前は?」
漆黒の瞳がこちらに向けられる。
「私、ですか?」
「貴方以外に誰が居るんですか?」
そりゃそうだ。自分の名前以外で聞くとすれば、目の前にいる相手以外に居るはずもない。
「私は、リーンハルトと申します」
「リーンハルト、ね。ハルトさんで良いですか?」
「呼び捨てで構いませんよ。貴女は王なのですから」
「でも、私よりは年上ですよね。ハルトさん」
あ、問答無用で呼び方は決定なんですね。
「私は、不知火真南と言います。真南が名前です。これから、よろしくお願いしますね。ハルトさん」
にっこりと、彼女は笑みを浮かべた。
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