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「貴方がたはどうなさいますか? 魔王様が居なくなった以上、貴方がたの役目も終わったのでは?」
魔王は倒せなかったが、『魔王』という存在はいなくなったのだ。
「……それでも、帰ってくるのなら、この城のはずだ」
勇者がその場に座り込んでしまう。
「そうですね」
出会ったのも、この城なのだから、きっと帰ってくるのなら、この城のはずだ。
そこで、先程マナ様が言われていたことを思い出す。
「机の、一番上の引き出し……」
執務室に向かい、そこでマナ様が使っていた机の一番上の引き出しを開ける。
そこにあったのは――
『リーンハルトへ』
私宛ての手紙だった。
☆★☆
貴方が今、この手紙を読んでいるということは、私が近くに居ないということだろう。
まあ、そんな定番じみた前置きはさておき、まずは「ありがとう」と言わせてほしい。
右も左も分からないどころか、異世界転移なんていう事象に巻き込まれながらも、この世界で最初に会ったのが『魔王補佐官』である貴方で良かったと、今でも自信を持って断言できます。
『魔王補佐官』という地位なためか、何かと苦労のあるリーンハルトさんには、迷惑を掛けていたことは自覚していました。
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