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それでも、これが実は現実ではなく、夢であるのではないか。そう思ったことが度々ありました。
この世界に来た日から五日間、城の図書室に居たからか、この世界について知ることが出来ました。
その後にあった魔族だというのに幹部の皆さんだけでなく、城に居る人たちみんなが人間である私に優しくて、部屋では少し泣いたこともありました。
勇者が、学友である天霧北都君だと知り、貴方から勇者と魔王の召喚条件を聞いた時、何とも言えない気持ちになりました。
元の世界で、自分で調べて知っていたとはいえ、この世界への召喚が、それが事実だと示しているような感じがして、何故、このような形でそれが正解だと伝えてくるのだろうかとも思ったよ。
魔法が使えるようになって、数ヶ月。天霧君たちがこの城に来ることを知りました。
それと同時に、リーンハルトさんがずっと、勇者が召喚されては魔王も召喚され、事実を知り、引き裂かれる面々を見続けてきたことを知りました。
あれだけ過ごしておきながら、気付かないなんて――ううん、気付いていて、目を逸らしていたんだ。
自分たちもまた、歴代の人たちと同じように、リーンハルトさんを悲しませるんじゃないかと。
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