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あれから月日が経った。
マナ様と出会った同月同日のあの場所に、私は来ていました。
去年も居なかったことから、今年も居ないかもしれない。
――でも、今年は違った。
「……ぁ」
『あの時』と同じように、周囲を見回していた。
「マ、ナ、さま」
そう呼べば、彼女の目がこちらに向けられる。
そして、笑みを浮かべたかと思えば――
「ただいま。リーンハルトさん」
あの時と何一つ変わらない、私の主がそこに居た。
「……あの、ハルトさん?」
「あまり、心配させないで下さい。手紙一つで誤魔化されるほど、『魔王補佐官』は甘くないんですから」
嬉しさのあまり、思わず抱き締めてしまったが、マナ様が何も言ってこなかったり、息が出来ないことを訴えるということをしてこないということは、嫌では無いということだろう。
「そうだね。考えが甘かったよ」
まさかの抱き締め返された。
「マナ様」
「様はいらないよ。『真南』で良いって」
「……初めて会ったときにやりましたよね。このやり取り」
思い出せば、二人で笑い合って、互いに離れる。
「行きましょうか。皆さんの所へ」
「そうだね」
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