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召喚前という過去と後日談(不知火真南視点)
『天霧北都君。君に話したいことがあります。放課後、誰もいない教室で待っています』
相手が男子であるためか、まるでこれから告白をしようとしている女子みたいだが、そんなことは一切無く。
あるのは、たった一つの『真実』を突きつけ、それを聞いた『彼』が、どのような判断をするのかを待つという時間だ。
ある日、自分に突きつけられたその『真実』は、今まで見ていた世界を一新させるほどで。
何かの嘘であってほしいと思いながらも事実として突きつけられた挙げ句、今もこうして『不知火』として過ごせているのが不思議なぐらいで。
「……」
本来なら誰かの手を借りるべきだったのだろうけど、母さんはそれどころではなく、これは我が家の問題だからと、当時、女子中学生だった私一人で可能な限り調べた。
そして、相手を知り――何の巡り合わせか、因果か。私と『彼』は同じ高校に通うこととなった。
この事を、父さんはともかく、母さんは知らないだろうし、私は私で『彼』の様子を観察していた。
――ああ、何も知らないんだな。
異母妹が同じ学校に居るというのに、『彼』は親からは何も知らされていないらしい。
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