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こっちは下手したら、家庭崩壊の危機を迎えていたかもしれないのに。
「な、んで……っ!」
こっちだって、知りたくはなかった。
でも、知ってしまったのだ。見て見ぬ振りが出来るわけがない。
それからというもの、『彼』の観察は冷めた目で行うようになった。
私が知る『真実』を知ったとき、どんな顔をするのか見てみたい気もするが、ただの同級生だと思っていた私が異母妹だと知って、余所余所しくされても困る。
だから、私が途中で生徒会役員になってからも、この問題に関しては、全てタイミングの問題だった。
双方のダメージ云々は関係ない。『彼』――天霧北都が『真実』を知るということが、大切なのだ。
彼と話す場所を学校にしたのは、母さんにバレるのを防ぐためだ。
ただでさえ関係が不安定になっているのに、私が通っているのが天霧君と同じ学校だとバレたらどうなるかなんて、考えたくない。
「……まだかな」
この日のためにやるべき業務は終わらせたわけだが、天霧君の方は先生から頼まれ事をされていたから、それを片付けている最中なのだろう。
「……」
部活中の運動部に吹奏楽部や合唱部の演奏などが聞こえてくる。
そんな時だったのだ。
「っ、何……?」
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