召喚前という過去と後日談(不知火真南視点)

3/5
前へ
/73ページ
次へ
 教室で待っていた時に、足下で輝く魔法陣が現れたのは。  そして訪れた、心の何処かでは『違うのでは?』と疑っていた私たちの関係が、『事実』であることを肯定する世界への召喚へと繋がるのである。    ☆★☆    「そして、私はこの世界に来たんだよ」 「へー」  話を聞いていた小さい子たちに、そう告げる。  一部は思い出すように話していたわけだけど、あの時の私は若かったわけだから、完全に感情をコントロール出来たわけではない。 「じゃあ、母様は伯父さんのこと、今ではどう思ってるの?」 「そもそも、兄妹って分かるまで、母様は伯父さんのことをどう思ってたの?」 「伯父さんのことは、異母妹(いもうと)として好きだよ。親愛や友愛といったところかな。義兄妹(きょうだい)だって分かる前は、居るってこと自体、知らなかったからね。調べ始めたのと同時に知った、っていう感じかな」  今の説明で分かってもらえたかな? 「何を話してたの?」 「異母兄(にい)さんと出会うきっかけをね」  そうこうしている間に、話のネタにされていたご本人の登場である。 「……もう慣れたとは言え、その呼び方はなぁ」 「そっちだって、気兼ねなく『真南(まな)』って呼べるようになったじゃん」     
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加