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「同い年とはいえ、これでも異母兄妹だからな。そっちだって、『北都』って呼ぶときがあるだろうが」
「ありゃ、正論」
彼は今、勇者と魔王の関係について広めるために、現在進行形で奮闘中だ。
「そろそろ、帰り支度しろよ。じゃなきゃ、旦那様がすっ飛んでくるぞ。魔王様」
「そうだね。じゃあ、お言葉に甘えて、帰らせてもらうよ。勇者殿」
連れてきていた子供たちにそろそろ帰ると促せば、上の子が先に片付け始める。
私は私で、現在進行形で魔王をしているから、魔国に帰ったら、少しばかり仕事をしなくてはいけない。
「それじゃあね。北都君」
「ああ、気をつけて帰りなよ。真南」
子供たちと一緒に軽く手を振って、その場を後にする。
「あら、今ご帰還ですか? 魔王様」
偶然、その場に居合わせたらしいフィーネさんが声を掛けてくる。
「そうなの。ごめんね、書類減らなくて」
「気にしないで。ほら、早く行かないと、補佐官殿が怒りかねないから」
苦笑しながらもそう促されたので、執務室に向かおうとして、子供たちはどうしようかと足を止める。
「お二人なら、私がお部屋の方に連れて行くから大丈夫よ」
「本っ当に、すみません!」
フィーネさんに頭を下げて、今度こそ執務室に向かう。
「すみません、間に合いました?」
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