召喚前という過去と後日談(不知火真南視点)

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「魔王様。貴女、今日は休みの日でしょう。なのに、何故来てるんですか」  おおぅ、補佐官様から不機嫌そうな目を向けられたぞ。 「何でって、私がやらないと滞る書類もあるでしょう」  魔王のサインが居る書類とかは特に。 「貴女に倒れられたら困るから、休めって言ってるのに……貴女という人はっ!」 「じゃあ、ここまで来ちゃったのに、どうすれば良いのさ」  そりゃあ、子供たちと会う時間以外だと、基本的には仕事してるけどさ。 「ちゃんと心配させる前に帰ってきたのに……」  軽く落ち込んだ素振りをしてみれば、溜め息を吐かれた。 「全く」  補佐官様が椅子から立ち上がる。 「お帰りなさい、真南」 「ただいま、リーンハルト」  そう言い合って、抱き締め合う。  そのお陰で、ちゃんとこの国に帰ってこられたと理解する。 「それじゃあ、仕事しましょうか」 「だから、止めなさい」  互いに離れ、執務机で仕事しようとすれば、机の方に行く前に、丸めた紙の束でこん、と頭を叩かれ、そう突っ込まれた。
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