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「図書室にあると思いますよ。後で案内します」
「すみません」
そう言った後、ある程度の書類を纏め、マナ様を図書室へと案内する。
「さすがお城。本がたくさんあるね」
「そうですね。マナ様が見たい本ならこちらです」
そのまま彼女が、鳥の雛のように付いてくる。
「意外とあるなぁ……徹夜すれば、短期間で読み終えるかな」
「徹夜すればって、せめて睡眠ぐらいは取るべきです」
「いや、けど、書類の量や内容から察するに、ここの本は読んでおいた方が良い気がするんだ」
気が付けば、彼女の話し方が丁寧口調では無くなっていたのだが、マナ様本人がその事に気付いた様子はない。
「というわけで、今からこの部屋に引きこもって読んでいくので、申し訳ないんですが、ハルトさんは書類の方をよろしくお願いしますね」
どうやら、決定事項らしい。
「それでは、後程お食事をお持ちしますので」
「ありがとうございます」
それが、彼女がこの城に来た日であり、図書室に閉じこもった初日。
「おい、リーンハルト!」
「……何ですか?」
執務室で書類を仕分けていれば、何やら騒がしい人がやってきた。
「何故、この城に人間が居るんだ!」
もしかしたら、図書室に居るマナ様と会ったのかもしれない。
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