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「そうです、陛下! 殿下の仰る通りです!」
ヴィドルが声を上げれば、それに同調する騎士たちからも声を上げる。
が、陛下は特に気にした様子もなく、その口を開いた。
「なぁ、勇者よ」
「はい」
「お前から見て、魔王とはどんな人物で、どんな存在なんだ?」
どんな、か。
「どんな、と聞かれましても、困りますね」
いきなりこの世界に喚ばれて、知識を得て。旅をして、魔王の元に着いたかと思えば、相手は級友にして実は異母妹という真南だったのだから、戸惑うしかない。
しかも、抱いていた学校でのイメージを容赦なく破壊してきた。
「この世界に来るまでの関係性を問われれば、本当にただの級友だったんですが、こちらに来てからは思わぬ事実を突きつけられましたからね。なので、その問いに関しては、少々返答に困ります」
「そうか」
それ以上、陛下が何を言うでもなく、その場は静まり返る。
正直言って、この人何考えてるか分からないから、苦手なんだよな。
「っ、来る……!」
俺が持たされていた転移用(目印なんだとか)の魔石が輝く。
魔石の周囲を渦を巻くように包む光の粒子の中から現れたのは、予想通りというか、約束の時間ぴったりというべきか。
「よっと」
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