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しかも、従者一人も無しとか、馬鹿なのかと問い詰めたいぐらいだ。
「……そうですね。それなりの準備は出来たでしょうし、時間は与えたつもりです」
この場が一気に殺気立つ。
俺たち以外(ヴィドルは除く)の殺気はすべて、真南へと向いている。
「貴様――」
「でも、少しばかり言い方は悪くなりますが、一言言わせてもらいますとですね。貴方がたは少々、私のことを見くびりすぎてはいませんかね? その程度で、私が簡単に殺られるとでもお思いで?」
ヴィドルが口を挟もうとするが、させないとばかりの彼女のその一言で、その場を支配していた殺気という気が、一瞬にして恐怖心へと変わる。
「私とて『魔王』という地位を任された身。ですが、貴方も王であるのなら、分かるのではないのですか? その座に就いた者としての地位や名誉だけではない、責務を全うしなくてはならないことを」
――ああ、彼女は。
俺の知る『不知火真南』という少女は、もう一国の王なんだな、と思う。
「私はこれでも一国の『王』なので、貴方と対等な者として扱ってもらわなければ困ります。私は貴方の部下とかではないのだから」
「っ、」
何を以て、そう判断したのかは分からないが、馬鹿にされてイラついているのだけは分かる。
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