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「ハルトさんは、歴代の魔王の補佐官をしていたんですよね?」
「はい」
「……私に、言ってないことがありますよね?」
「……はい」
嘘は許さないと言いたげな目と、話すなら早いうちの方が良いと思っていたことから、素直に頷く。
マナ様がこのことに気付くのは、もう少し後かと思いましたが、意外と早く――それも、彼女が来て五日目に来ました。
「マナ様の言う通り、話していないことはあります」
「……まあ、普通は知り合って五日で、何でもかんでも話そうなんて思わないもんね」
「マナ様は、知っておくべきです。貴女のような異世界から来た人は特に」
聞いておきながら、何を思って話を逸らそうとしたのかは分からないけど、マナ様は聞かなければならない。
「この世界は残酷です。勇者が召喚されれば、魔王も引かれるようにして召喚される。そして、召喚された勇者と魔王は、異世界では恋人や夫婦、兄弟姉妹といった関係の者たちなのです」
「……」
「数代前、この城に当時の魔王様を倒しに来た者たちに、その事を話しました。最初は信じてもらえませんでしたが、当時の勇者と魔王が恋人同士だったことにより、信憑性は増したのです」
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