前編

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 それが、人間側にどう伝わったのかは分かりませんが、今の状態から、いくらでも察せられる。 「異世界とはいえ、正当な理由も無く、愛し合っていた者同士を引き裂いて良いはずが無いんです……っ」 「……そんなこと言われたら、まるでリーンハルトさんの方が人間みたいじゃないですか。けど、これじゃ、どっちが人間なのか分かりませんね」  話してくれてありがとうございます――……マナ様はそう言われた。  その後、マナ様は幹部の人たちに挨拶に行きました。 「また代替わりすることになるかもしれませんが、次までにはちゃんと仕事をさせてもらいますので、よろしくお願いします」 「これはこれは。随分と丁寧な魔王様が来たものだな。リーンハルト」 「はは……」  苦笑いしか出ない。 「けど、陛下。下手に頭を下げてはなりませんよ? 相手に()められる可能性がありますから」 「そうですね。忠告、ありがとうございます」 「何かあったら仰ってくださいね? 私たちが相談に乗りますから」  女性幹部からは評判がよろしいらしい。  同性から嫌われれば、やりづらいだろうから、表面上だけだとしても嬉しいのか、マナ様も頷いている。 「ねぇ、陛下。もし、勇者が恋人で無いのなら、俺と付き合いません?」     
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