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それが、人間側にどう伝わったのかは分かりませんが、今の状態から、いくらでも察せられる。
「異世界とはいえ、正当な理由も無く、愛し合っていた者同士を引き裂いて良いはずが無いんです……っ」
「……そんなこと言われたら、まるでリーンハルトさんの方が人間みたいじゃないですか。けど、これじゃ、どっちが人間なのか分かりませんね」
話してくれてありがとうございます――……マナ様はそう言われた。
その後、マナ様は幹部の人たちに挨拶に行きました。
「また代替わりすることになるかもしれませんが、次までにはちゃんと仕事をさせてもらいますので、よろしくお願いします」
「これはこれは。随分と丁寧な魔王様が来たものだな。リーンハルト」
「はは……」
苦笑いしか出ない。
「けど、陛下。下手に頭を下げてはなりませんよ? 相手に嘗められる可能性がありますから」
「そうですね。忠告、ありがとうございます」
「何かあったら仰ってくださいね? 私たちが相談に乗りますから」
女性幹部からは評判がよろしいらしい。
同性から嫌われれば、やりづらいだろうから、表面上だけだとしても嬉しいのか、マナ様も頷いている。
「ねぇ、陛下。もし、勇者が恋人で無いのなら、俺と付き合いません?」
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