前編

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「ありがとうございます。でも今は、社交辞令として、受け取っておきますね」  女好きからは華麗に避けていった。  幹部たちの所を後にすれば、次は騎士団や文官たちの元を訪れては、幹部たちと同じように挨拶していった。 「みんな優しそうで良かったです」 「ですが、これからですよ。我々はマナ様の器量をよく分かっていませんから、魔王として示されなければ」 「そうだね。じゃ、まずは書類仕事からだね」  執務室に戻ってきて、笑顔でそう仰られました。    ☆★☆     マナ様は聡明だ。  書類仕事にも手慣れているように見えたから聞いてみれば、『生徒会』なるもので慣れているかららしい。 「学校の、生徒側代表みたいなものだね」  と説明された。  あと、マナ様が居るからか、怖いぐらいに作業効率が良い。やっぱり、一人で捌くよりは誰かと一緒の方が処理スピードが早いのだ。  マナ様と勇者の関係については聞いていない。  時折、水晶で様子を見ているようだが、「うわぁ、さすが」と洩らしていた辺り、やはり知り合いなのだろう。 「あの、マナ様」 「何?」 「勇者が来たらどうしますか?」 「話がしたいかなぁ」  話? と首を傾げれば、マナ様が教えてくれた。     
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