強雨 180806

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強雨 180806

 「キャンピングカーだぞ」  父ちゃんは胸を張った。  店の外に白いワンボックスの車が停まっている。横腹に三河屋酒店の文字。  夜なのに蒸し暑かったことを覚えている。汗でランニングシャツがべたつく。  いよいよ明日、キャンプに行く。夏休みになって初めて、店の定休日の水曜日がやってきた。  父ちゃんは宣言した。  「今度の休みは連休にする。水曜日と木曜日。連休にして、家族でキャンプに行こう!」  二人の妹は飛び上がって歓声を上げた。下の妹が幼稚園に入ってからというもの、家族で出掛けたことはなかった。ラーメン屋が忙しくて、特に幼稚園と学校が休みになる週末は激込みになり、父ちゃんと母ちゃんは店で夜まで仕込みをしていて、僕達はずっとテレビを眺めて過ごしていた。  「あらあんた、ステキなキャンピングカーじゃない。ちょっと古いけどさ」  前掛けを外しながら母ちゃんも出てきた。満足そうだ。
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