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ミキ、と、ある日ベッドの上で事が終わって、角さんが言った。角さんは二人きりになると私を名前で呼んでくれる。私は角さんの胸に頬を付けて次の言葉を待った。お前、子供が欲しいって言ってたよな。角さんが言った。そう。確かに私はそう言った。そして本当にそう思っている。私は結婚をしていない。だけど子供が欲しい。最近特にそう思う。スモールタイプにだって結婚はあるし、家族だってある。でも今や未婚の母の割合は七十パーセントを超え、ほとんどの子供が母子家庭に生まれる。子供はいい。未来の希望だ。母子家庭は普通のことだし、社会福祉も充実している。
うん。私は答えた。抱き締め合っている時に角さんから急に子供のことを言われて、期待した気持ちも少なからずあったんだと思う。私の中に。でも角さんからの次の言葉は、行ってみてくれないか、というものだった。それはカルト・アースに行け、という意味だ。なるほど、と私は思った。角さんはキャリアで、こんな渉外課のような部署にいつまでも留まるような人ではない。しかし今問題になっている「例外妊娠」という事案は、渉外課として解決しなければならない事案だ。表沙汰にはされないが、例外妊娠が増えると遺伝子の制御が不安定になっていってしまう。政府は国民の妊娠を手助けすると言いつつ、スモールタイプの遺伝子を制御しているのだ。政府の管轄制御するノーマルタイプ以外の子種を持ち込まれれば、遺伝子に例外の因子が入り込んでしまう。それは避けねばならない。だから私に。行ってこいと。行って体験してこいと。地球教団の持つ謎の科学力の手掛かりを掴めと。角さんは。
いいですよ。私は言った。それが角さんのためになるというなら。ちょうど私も子供が欲しかったし。子供を授けてもらって、小人化推進部を退所して福祉助成金で暮らしていくのもいいかもしれない。子供と二人で。
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