第10話 小人の新しい王様

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 一月後。  月のものが来た。  私は生理になった。  懐妊の儀は成功しなかった。  そういう場合は。  懐妊の儀が成功しなかった者は再申請を行い、許諾されれば無料で再び懐妊の儀に参加することができる。調査によれば、懐妊の儀のリピート希望は八割を超える。  私は複雑な気持ちになった。  私の中にリピートしたいという気持ちが少なからずあるのだ。ひと月が経って、私はあの夜のことを何度となく思い出していた。あれはひどい体験じゃないか、と、頭の中の私は言う。もう二度とあんな体験をするべきではない。あんなところへあんな体験をするためにわざわざ行くなんてまっぴらだ。頭の中で、常識的な部分の私はそう言う。けれども、気持ちが違うのだ。思い出すとドキドキする。胸がドキドキして、身体が熱くなる。私はまたあそこに行きたいと思っているのだ。なんということだ、と、頭の中で私が言う。なんだこの気持ちは。この私のこの気持ちは。「ふしだら」ではないか。そう。「ふしだら」だ。私は「ふしだら」な女なんかではない。断固として。私はそんな女じゃない。  あれから何度となく私は抱かれた。私の彼。角さんに抱かれた。私の身体は以前よりも確実に感じる身体になってしまっていた。角さんに抱かれながら、角さんを迎え入れながら、どうしてもあの日の巫女の体験がフラッシュバックしてしまう。そして私の身体が更に感じる。興奮する。感応する。激しく喘ぎ、何度も絶頂し、ベッドをびしょびしょに濡らして失神させられる。そして角さんが果てる。果てた後、私は思うのだ。もっと。もっと欲しい。物足りない。こんなんじゃない。と。  頭ではわかっている。それは「ふしだら」だ。「ふしだら」な女だ。こういう女を「ふしだら」と言うのだ。でも私の気持ちは収まらない。私の気持ちは完全に「ふしだら」な状態だ。どうしたことだ。どうなってしまったんだ。私。  頭と気持ちがちぐはぐだ。そんな状態だったので、生理が来たという報告を角さんにするのが三日ほど遅れてしまった。
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