管理者養成学校 180807

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管理者養成学校 180807

組織は人なりとはよく言ったもので、と、その講師はしたり顔で言う。 人が組織を作っているんですね。だから人が大事。あなた方は組織の管理者になるのです。組織を作るということは、人を作るということと同じです。人は何で動いているか知っていますか? 命令ですか? ミッションですか? それもあるでしょう。しかしそれ以前に何が大切か。それはですね、感情です。 ふむふむ。 人は感情で動いています。あなたも人ですよね。だからわかると思いますが。人は感情で動く。やりたいなあと思う仕事ははかどります。逆に、やりたくないなあと思ったらはかどりませんよね。ですから、組織を作り動かしていくためには、そこが最も重要なポイントになってくるという訳です。 モチベーション、と、講師はホワイトボードに板書する。 これをモチベーションと言います。つまり、組織の管理者として最も大事なことは、部下に対するモチベーションをいかに形作るかということになる訳です。 なるほど。勉強になるなあ。モチベーションか。 コーチングの講義はこんなふうに始まった。これから演習も含めて1年間この講師にお世話になることになる。有名な教育専門の会社から派遣されてきた講師で、この講義を個人で受講したら何十万円もかかるという。管理者養成学校に入れてつくづくよかったと、俺は思う。こういう一流講師の講義を無料で、否、無料ではない。こうして受講している間にも俺に組織から給料が支払われる訳なのだ。なので、俺は仕事として学校に通うことが許された訳だ。本当によかった。これまで仕事をがんばってきて、管理者養成学校の試験に合格し、職場の推薦も受け、俺はこうしてここにいる。全国の組織の中から選ばれた精鋭20人の中に、俺がいる。 イー!イー!イー! グランドでは新入生のトレーニングが始まった。若い連中が声を張り上げている。がんばれよ、と俺は心の中で思った。最初は誰でも戦闘員だ。戦闘員で実績を上げれば、いずれここまで上がってこれる。黒タイツに白骸骨の戦闘員達。よかったな。お前達にも未来があるんだぜ。がんばれ。がんばれよ。がんばって、共に世界征服をめざそう。
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