2.チャンス

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そこから1ヶ月が経とうとしていた。廊下、食堂、フロア、会議室。出会うたびに不自然で無い程度にアプローチしてはいるものの、全くと言っていいほど効果は無い。 成瀬とのゲームの期限は3ヶ月。もう3分の1が終わってしまう。 全く何の親展も無いままに、は避けたい。 営業先から戻り廊下を歩きながらそんなことを考えていた。その時、 「宮川さん、ほんっとそういう態度、腹立つ」 「てか、私が成瀬さんのアシスタントなのに、何勝手に成瀬さんの資料作ってんの」 給湯室内で、2対1、廊下にいる自分からは言えないが、明らかにこれは・・・ 「確認せず、申し訳ありませんでした。」 「いや、謝ったらいいっていうその態度も腹立つんだけど」 実は、成瀬からは事前に聞いていた。 今宮川秋葉に突っかかっているのは澤田麗華(さわだ れいか)。身なりは華やかで綺麗なのだが、仕事に対する姿勢は中の下。 予定があればさっさと帰るし、納期管理も甘い。 ぼやく成瀬は、「だから俺、こっそり宮川さんに手伝ってもらってんだよね。」と言っていた。 だからこういうことになるんだけどな。 はぁ、とため息をこぼし、歩を進めた。 「お疲れ様。ちょっと、冷蔵庫あけてもいい?」 「!!松原さん!す、すみません!どうぞ」 澤田麗華は慌てて身体をどかす。秋葉はうつむき加減の無表情、もう1人と澤田は、慌てた様子で給湯室を出ていってしまった。
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