トナリ

3/6
前へ
/6ページ
次へ
あの日。 結構強い雨だった。 麻帆がいつも通る河川敷に小柄な犬が捨てられていたよね。 段ボールの中に布団が敷かれていて、ダンボールごとびしょ濡れになった小柄な犬を麻帆は見つけたよね。 漫画に出てきそうな偶然。 そして、偶然僕もそこを通りかかって。 僕はその小柄な犬に近づくと傘を段ボールにかけて小柄な犬を抱きしめた。 小柄な犬は僕の鼻先をペロペロと舐め続けた。 偶然だけど、麻帆には僕と小柄な犬がお互いを慰め合っているように見えたはずだ。 それを麻帆は少し離れたところで見てたって言ってたね。 まさか、こんな話が実際にあるなんて。 しかもそれがクラスメイトだったなんて。 次の日から少しだけ麻帆と僕の距離は縮まった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加