ワンデイズ・ライアーズ

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ワンデイズ・ライアーズ

 ガラン、ガラン、ガラン。  俺はゆっくりと、慎重にガラポンを回す。ガラポンがわからない人も、テレビで「商店街の福引き」の光景を見たことくらいはあるだろう。ガラガラと音を鳴らしながら回して、出た玉の色で商品が決まる、あれだ。  え?あんなもの、この2018年に実在するのかって?その疑問はもっともだ。だって今どき商店街なんか行かないもんな。俺だって三十二にもなってこんなに真剣に商店街のおばちゃんと睨めっこをする羽目になるなんて、思ってもみなかった。  機械と呼べるかどうかも怪しい単純な構造の機械から、玉が転がり落ちる。紫色だ。 金色でなかったことに落胆はしない。俺はリアリストだから、いくらなんでもそんな高望みはしないさ。  狙うは三等、商品券1万円。さっきリアリストと言ったばかりだが、神様がいるならそのくらいは俺に与えてくれたっていいはずだ。  おばちゃんの口が開く。  緊張の一瞬。 「おめでとう、四等の仮面ライアーフィギュアが当たったよっ!」  おばちゃんは俺がこれっぽっちも欲しくないのを知っていながら、わざとらしくニヤリと笑った。     
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