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「政宗っ」
飛び込んだ政宗の執務室。
目にしたのは机に突っ伏す政宗と、すぐに恋絆兄を連れて来るように黒脛巾に命令する小十郎の姿だった。
「……政宗」
駆け寄り支えると、体が熱い。
包帯には血が滲んでる。
大きな傷だ。
こんな状態で仕事をしていたのか。
泣きそうになるのを堪えて、小十郎と共に政宗を運び布団に寝かせる。
「政宗様はずっと凪のことを心配していた。先程無事戻ったと伝えたことで、張り詰めていた糸が切れたのかもしれない」
「そう、か……私は無事だよ、政宗。大丈夫だから、ゆっくり休んで」
そっと政宗の額の汗を拭う。
本当はずっと側に付いていたい。
けれど、城に徳川家康が来ている。
私は政宗の隣に立つ者として、やるべきことをやらなければ。
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