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時期に恋絆兄が来て、政宗を診てくれる。
それまでは部屋付きの女中さんにお願いして、立ち上がる。
「小十郎、一緒に来てくれるか」
「当たり前のことを聞くな」
ぼふっと頭に置かれた大きな手に髪の毛をわしゃわしゃされる。
それだけで入りすぎていた力が抜けた気がする。
「流石、小十郎」
「何がだ?」
不思議そうな顔をする小十郎の背をぽんっと叩き、家康が待つ客間へと足を向けた。
客間には家康一人が静かに座していた。
特別体が大きいわけじゃない。
でも、大きく見えるのはやっぱり特別な何かを持っている男だからなんだろう。
「今回、結果的に政宗様を助けて貰ったこと礼を言いたい」
冒頭、小十郎がそう言って頭を下げたので私も倣う。家康がいなければ今頃政宗は……そう考えただけで心が締めつけられる。この感情を隠すのは難しい。
一つ深い呼吸をして、顔を上げる。
そこには淡々とこちらを見る家康がいる。
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